芋蔓読書

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生死を超える―絶対幸福の鍵を解く!!



「天啓のゆくえ」を検索しているなかで、著者(弓山達也)が吉本隆明と対談している新聞記事(1995年産経新聞)がヒットしました。
そこでは、吉本隆明が、麻原彰晃を思想家としては高く評価している、しかしそりゃまたなぜ?という話がされています。

吉本氏
「僕は思想家麻原を評価する根拠が一点あるんです。
それは『生死を超える』という本の前半部で、麻原さんが修行の過程と段階とをとても実感的に説いていて、はっきり体験的に表現している点です。
仏教系の経典とか本とかで、日本の奈良朝までの修行僧が、何をやっていたのかは『生死を超える』を読むと、
ああこういうことをやっていたんだ、ということが全部言われてしまっています。
僕は『生死を超える』という本は『チベット死者の書』や仏教の修行の仕方を説いた本の系譜からいえば、
相当重要な地位を占めると思っています。
あそこまで言ってしまったら、仏教の修行の秘密や秘密めかしたところが何もなくなってしまいます。
つまり、相当な人でないとここまでやれないよ、と思うのです。
やっぱり相当な思想家だと思います。」


「『生死を超える』は面白い」というタイトルで、「CUT」NO.15(ロッキングオン,1992)という雑誌にも同じような肯定的なことを書かれています。
ちなみに、以前読んだ「新宗教と巨大建築」は、オウム真理教サティアンを宗教建築としてとらえるところからはじまっていて、オウム真理教関連で1冊くらいは読みたいと思っていました。
やはり、あれだけの人に影響を与え、事件前はいろんな文化人が肯定的な発言をしていましたし、やはり何らかのおもしろさや魅力があるのでしょう!


で、ものすごく期待して読んだのですが、私は・・・ただ、
「ヨガの本やん」
と思いました。
読みが浅いというのもありましょうし、「解脱したといっても・・・末路を知ってるからなあ」と無意識ながら否定的に読んでる部分があったかもしれません。
吉本隆明が書いていることには概ね同意できるのですが、それはあくまでヨガのおもしろさであって、思想家としての麻原彰晃に対しては過大評価と感じます。
ヨガ界での優劣については、実践してみないことには分からないのではないでしょうか。
「ここからはヨーガ経典には書いていないことだ」とか「この方法は今はじめて紹介する」というようなことが書いてあるので、たくさんいるヨガマスターの中でも相当な人物だった可能性はあるにはありますが、結局のところ、「解脱した人があんなことするわけないんじゃないの?」→「解脱してないんじゃないの」 or 「私の思っている解脱とはだいぶ違うな」としか思えません。


当初の期待が大きすぎた反動のせいで、必要以上に否定的な感想になっているかもしれませんが・・・読む価値なし、とは思わないですよ。
はじめて出会ったヨガ系の本がこれだったら、もっと違う感想だったかもしれないし、違う人生だったかもしれない。
・・・まあ、それは・・・あるかなあ・・・?


正直言って、「解脱は今はいいわ。退職したら考えようかな」ってな感じです。
でも、それもあながち自堕落&不真面目&不謹慎ってほどのことでもないと思うんですよ。
バラモン教では人生を4つに分けて、「修行期」みたいな時期を設定している、と「原始仏典を読む」に書いてありましたから。
やっぱり、人生には、解脱したり、解脱を目指してがんばる前に、「生産期」というのがあってもよいと思います。


私がはじめて出会ったヨガ系の本については・・・またの機会に書ければと思います。


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はじめに出会ったヨガの本関連
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