芋蔓読書

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日本ばちかん巡り(その2)

〜芋蔓〜日本ばちかん巡り(その1)から〜


続きです。
さて、内容はというと。
もう一度、目次を見てみましょう。

オウム真理教―六年目の夏
天理教おぢばという名の磁場へ
金光教―人もたちゆき神も立ちゆく
大本―霊界二都物語
世界救世教―あまりに天国的な
真如苑―霊能者のいる秘密の花園
善隣会(教)―おすがり王国の空高く
崇教真光―種人よ起て手をかざせ
天照皇大神宮教―「踊る宗教」歌説法の聞こえる里
出雲大社神在月の浜辺
辯天宗―「走り辯天」の春
伊勢神宮―ご遷宮の夜が来るまで
生駒山系の神々―済州島は八百キロの彼方
松緑神道大和山―北の聖共同体
いじゅん―琉球にミロク世の風が吹く

(目次より)


出雲大社伊勢神宮も訪れるんかい!
日本人にとってそれほど異文化ではないし、ジャーナリストじゃないと踏み込めないような目新しい場所でもない。
が、出雲大社の項を読んで驚いた。
出雲大社って新興宗教だったんですね・・・
従来のいわゆる神道でもあるらしく、そのへんが理解しにくいのですが。

しかし、出雲大社は、ただ神道系宗教の実家の役にだけ甘んじているわけではない。出雲神道の宗家として、大社もまた自前で新宗教の教団をかかえてきた。(略)
それからもう一つ、大社の境内の地続きには出雲教という別の教団もあって、(略)これも出雲大社にはゆかりの深い新宗教教団で、大社教と同様、明治時代からつづいている。
いったいどうして、隣り合ってふたつも教団があるのか。これを一口で説明するのは難しいが、簡単にいえば、それは「国造(こくそう)さま」がふたりいるからである。
一般の参拝客の目をひくことはあまりないが、出雲大社の境内の西隣と東隣には、このふたりの国造さまが代々住んできた広大なお屋敷がある。
「こっちが千家国造館で、あっち側にあるのが北島国造館。千家のほうが大社教で、北島のほうが出雲教になるわけだなあ」
出雲大社神在月の浜辺【島根県大社町】1993年)


知らなかったよ!!
これもねえ・・・両家の対立をあおるようなというか、大丈夫かというかきぶりなんだが・・・大丈夫か?!
ちなみに、伊勢神宮の方は新興宗教ではなく、遷宮(前々回のこと)について書かれている。
儀式の招待客として新興宗教も来ていたということが少しだけ出てくる。


そして、辯天宗
知らないな〜。奈良県五條市か〜。と思ったら。

(略)辯天宗が創立した学校法人、智辯学園中学・高校の校舎がある。智辯高校野球で全国的に有名な学校だが、ここもまた天理やPLと同様新宗教系の学校だということは、あまり知られていないのではあるまいか。


知らん、知らん!
辯天宗という宗教自体、初めて知った。聖地周辺にはしょちゅう行っているが・・・
ちなみに、父に「高校野球が強い高校って新興宗教関係なんだね」というと、「どこ?」と。「PLとか天理とか智辯和歌山」というと、「智辯は知らないけど、天理は新興宗教とは言わんでしょ〜」とのこと。
そういう感覚なのか。
しかし、下記を読むと、この辯天宗ももはや新興宗教と言わないのではないかと。

(略)新宗教の信者にはあまり見かけないタイプだが、こういう人は、いったいなにをきっかけにして信者になるのだろうか。やはり病気だろうか。それとも子供の問題だろうか。
「いいえ、とくになにも・・・。たまたまうちのご近所のお宅が、みなさん入ってらっしゃるものですから」
(略)
どうやらこのあたりでは、「辯天さん」は、いわゆる新宗教のひとつに数えなくてもいいことになっているらしい。おそらく、地元のひとの多くは、せいぜい町内の神社の氏子になるくらいの感覚で、この教団に出入りしているのではあるまいか。
辯天宗−「走り辯天」の春【奈良県五條市大阪府茨木市】1993年)


日本人でなくても、世界中の多くの人は町内会に所属するような形で宗教に関わっているのではないか。
もはや教義や信仰なんて関係ないくらい地元との結びつきができている宗教を、伝統的な宗教と区別する意味があるのだろうか。
まあそれを客観的・定量的に見分けるのは難しいか。
どういう目的で区別したいかにもよりますね。


次も奈良(と大阪の境目)の生駒山系の神々。
大雑把にまとまっているが、ここに朝鮮の伝統的な宗教が残されているらしい。

朝鮮の伝統社会では、病人がでたとき、事故や不運が重なったとき、これを祖霊をないがしろにしたせいだとみて、巫俗による盛大な先祖供養のお祭をする。これが賽神、またはクッで、大阪の在日社会でも、この厄祓いと運勢転換のパフォーマンスは、故国と同じように行われてきた。クッは朝鮮寺を会場に、普通で3日から5日、ときに7日から10日もぶっ通しで行われる事があるという。
生駒山系の神々−済州島は800キロの彼方【奈良県大阪府】1994年)


全然知らなかった。行ってみたい。
この項も著者の人徳を感じた。


あと少し続きます。
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