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百年の孤独


〜芋蔓〜#本のときめきタイトル10選から〜




(6)百年の孤独
格調高いタイトル。これは読んだ。
最初に読んだガルシア=マルケスは「エレンディラ」という短篇集で、これが気に入ったから同じ著者のほかの作品も読もうと思って、そのとき出ていたのはだいたい全部読んだ。そういえば、「コレラの時代の愛」というのがなかなか和訳されず、英訳のペーパーバックを買ったなあ。読むわけないですよね。なんで買ったのか?実際、読まなかったし、日本語版も読んでないけど・・・・読もう。
さて、そのエレンディラを読んだ頃、私には「文章は簡潔に書ける方が偉い」という考えがあり、短編を好んでいたが、エレンディラに続いて氏の作品群を読む中で、饒舌ということ自体がひとつのおもしろさだなーと思うようになり、長編も読むようになったのであった。
長編が読めない体質だと、ラテン・アメリカ文学はほとんど読めないことになるので、体質が改善できてよかった。
ラテン・アメリカ以外の饒舌カテゴリーでは、ミラン・クンデラの「行間を全て説明しちゃう」という技術に衝撃を受けたなあ。


それから、嘘かほんとかわからんような描写の手法をマジック・リアリズムというのだそうですが、「南米ならあり得るのか?」「しかし、どこまでが本気なんだよ?」と、私には幻想的というより冗談のように感じられた。そこが、饒舌に加えて非常に魅力に思えた。
この感覚にはエキゾチズムというものが一役買っていることは間違いなく、「日本人ならマジック・リアリズムで世界に打って出れるぞ!!」と興奮したものであった。しかし、当然ながら私に指摘されるまでもなく、プロはすばやく対応しており、百年の孤独の初版が1967年、日本語の刊行が1972年、中上健次の「枯木灘」は1977年なのであった。
(それよりも前に日本のマジックリアリズムはあったのかもしれませんが)
ちなみにWikipediaにはこうある。

小説における魔術的リアリズムは全世界に知られるようになった。とりわけガブリエル・ガルシア=マルケスの作品『百年の孤独』の影響は強く、多くの人が百年の孤独をモデルに魔術的リアリズムの作品を手がけていった。


ガルシア=マルケスを読んでみたいが分量が多くてハードである、という人には、まずはエレンディラをオススメしたい。文庫の短篇集だから。饒舌の観点からはさすがに物足りないかもしれませんが、マジックリ・アリズムの雰囲気は味わえるのではないかと思います。


そうそう、原題は「Cien Anos de Soledad」。コロンビアの作家だからスペイン語だろうけど、なんとなくわかる。CienはCenturyなんかと同じ語源の100、Anosは年、SoledadはSolitude(孤独)ではないか。きっと直訳。
そういえば、氏もノーベル文学賞を受賞していますね。



コレラの時代の愛
ガブリエル・ガルシア=マルケス
新潮社



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