芋蔓読書

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コーランを読む


〜芋蔓〜「マホメット」から〜


井筒 俊彦 / 岩波書店 (1983/01)
コーランを読む


おもしろい!ステキすぎます!!

岩波セミナーブックスの第1作。
岩波から出ている著書を教科書として、それに解説を加えるようなセミナーの講義録ではないかと思います。
少なくとも、この「コーランを読む」に関して言えば、コーラン 上 岩波文庫 青 813-1井筒 俊彦 / 岩波書店 (1957/11) をテキストとしているようです。
コーラン 上 岩波文庫 青 813-1

10日間のセミナーの内容を458ページの本にしたものですが、この間読んだのはコーランの第1章の7行のみ。
もともと、この第1章はコーランの内容を集約したような重要な章なので、もっともな選択です。
ひとつひとつの言葉の意味や、それから喚起すべきイメージなどについて、その他の章を参照しながら読み進むわけです。
後書に、

僅かなメモを頼りに、原稿もなしに自由気儘なお喋りをする楽しさを、私は久しぶりで味わった

とある。
あ〜カッコイイ。
自由気ままですか?!計算しつくされた感じがしましたよ!


コーランは、預言者ムハンマドマホメット)が唯一絶対の神アッラーから受け取って、周囲に伝えた言葉の記録ですが、預言・啓示ということだけとっても、おもしろいことが盛りだくさんです。
私はコーランを読んだことがなく、この本でもうだいたい読んだ気になってしまっていますが・・・。
井筒俊彦フィルターのかかったコーランかもしれませんが、印象的、かつ、後の読書とも関係してくるのが下記のような点。


・最初の啓示は人間がどうやってできたか、ということ(他の説もあるが)。
 「よめ、『創造主なる主の御名において。いとも小さき凝血から人間をば創りなし給う』」
・啓示の内容は、終末感が強い。いまのままではダメだ!という危機感にあふれている。
・初期の啓示は詩のような形式。
・神様は方言、しかも商人言葉でムハンマドに話しかける。
 (唯一絶対の神様がなんでそんな言葉使うの?という批判が当時あったようだ)
ムハンマドは奇跡を起こさない。
 (神様の言葉だというのなら、証拠=奇跡を見せれるはずだ!という批判が当時あったようだ)
ムハンマドは、新しい宗教を興そうと思ってなかった感じ。
 モーゼもイエスも過去にたくさんいた預言者の一人、という考え方。
 これはたいへんわかり易い!合理的な説明だと思った。
 キリスト教の「三位一体」という考え方、これが私には難しい。
 神様は一人なんですよね?イエス・キリストは神の子なんですよね?
 日本語的に「神の子」と「神」は別人ですよね?あー解らない。


こういう点が、ほかの宗教と比べるとおもしろいな!ということが、後に分かったのです。

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同じシリーズに仏教がある!
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