芋蔓読書

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 教祖様

〜芋蔓〜「マホメット」から〜


芹沢 光治良 / 新潮社 (1996/06)
教祖様 (芹沢光治良文学館)


  天理教の教祖中山みきの伝記(小説?)。
  昭和25年〜昭和32年に「天理時報」に連載されたもので、私が実際に読んだのは昭和34年の単行本。
  天理教には興味も知識もありませんでしたが、この天理教の創世記には心ひかれるものがあります。
  
本書より引用

  この世はもともと泥海であったのだが、その時神様は人間というものを創って、人間の陽気ぐらしを見て楽しもうと考えた。
  泥海のなかに、微動する陽と陰とをひきよせて、神様の思慮をうちあけて、夫婦のひながたと定めた。(中略)


  産みおろした子供は、みな五分のものであったが、99年後に五寸にのびたが、みな死んでしまった。
  そこで神様は、また同じように苦心して、また同じいざなみのみことの胎内で同数(9億9万9999人)の子供を宿して産みおとして、再び五分から成人して、99年目に三寸五分になった時、又みな死んでしまった。
  その後、神様は幾度も同じ失敗をくりかえし、幾多の変遷をへて、今日のような人間にまで育ったが、一方、この世界もだんだん天と地と海と陸とが判然となって来た。
  神様が人間を創ろうと試みてから、今年(天保9年)までで、9億9万9999年かかったが、そのうち9億9万年は、水中に住んでいて、その後陸上生活をするようになったが、神様がその人間に6千年は知恵をしこみ、3999年は文字のしこみをした

  後書をみると、筆者は天理教信者のうちに生まれたが、「天理教の信者ではない」と冒頭にある。
  最後は、

  今日、これを一本にまとめて出版するのは(中略)、
  将来私は天理教について考えることも、再び『私の教祖様』を書くことも、もうないことが、自分にはっきりしたからである。
  のこり少ない生涯を、できるだけむだなくすごしたいと思うからだが、また、神や信仰というような問題に、興味をなくしたから、整理上一本にまとめたのにすぎない。


  34年春しるす

である。
  なんだ?このクールな感じは・・・。何があったんだろう。


  天理教の創世記を調べて、天理教の出版社から出ている「天理:心のまほろば・心の本2」(ISBNなし)も読んだが、これがまたおもしろい!
  世界各地の創世記も収録されていて、ものすごいテキトーな感じで人間がつくられている神話(?)も多く、とても楽しい。


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