芋蔓読書

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 ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)


〜芋蔓〜「こころの声を聴く―河合隼雄対話集」から〜
〜芋蔓〜「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」から〜


村上 春樹(新潮社)
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)


2巻で終わる予定だったようなことが書いてあったけど、2巻で終わったら怒る!
話はおもしろいかといえばおもしろい。しかし、好きかと言われれば好きじゃない。
甘い!


笠原メイの台詞

なんていうのかな、あなたのことを見ていると、まるであなたが私のために一生懸命何かと闘ってくれているんじゃないかという気がすることがときどきあるの。変なはなしだけど、そう思うとね、私まで一緒になってだらだら汗をかいちゃうのよね。わかるかな?あなたはいつも涼しい顔をして、何がどうなっても自分とは関係ないという風に見える。でも本当はそうじゃない。あなたはあなたなりに一生懸命闘っているのよね。他人にはそう見えなくてもね。でなきゃわざわざあんな井戸の中になんか入らないもの。そうでしょ?でももちろん、ねじまき鳥さんは私のためではなく、あくまでクミコさんを見つけるために、ばたばたとみっともなく何かを相手にトックミあっているのよね。だから何も私がわざわざ汗かくことなんかないのよ。それはわかってるんだけど、それでもやっぱり、ねじまき鳥さんはきっと私のためにも闘っているんだという気がするんだ。ねじまき鳥さんはたぶんクミコさんのために闘いながら、それと同時に、結果的に他のいろんな人のためにも闘っているんじゃないかってね。だからこそあなたは、ときどきほとんどバカみたいに見えるんじゃないかしら。そういう気がするな」

クミコはあの暗黒の部屋の中に閉じこめられ、そこから救け(たすけ)出されることを求めていた。そして救け出すことのできる人間は僕のほかには誰もいなかった。この広い世界にあって、僕だけがその資格を持っていた。なぜなら僕はクミコを愛していたし、クミコも僕を愛していたからだ。


近所の女子高生(笠原メイ)には何か高く評価されているし、奥さん(クミコ)には求められているということになっているけど、どう読んでもこの人はなにもひきうけてないし、何ひとつがんばってないと思う。「なにもしない」ということと、河合先生みたいに「『なにもしない』ということをする」ということには超えがたい差がある。この人が人生を深く生きてる気は全然しない。
努力しろ!根性をみせろ!とは言わないが、自分の中に誠意を持て!何かにエネルギーを傾けるということをしろ!と言いたくなる。自分に甘く、自分が大好きな人だ。
いや〜単に、とくにとりえもなく、怠け者のおっさんが(年下だけど)、やたらともてるのがムカつくだけなのかもしれない。
ある意味、ものすごく共感できているのかもしれない。しかし、だからこそ「甘やかしてはいかーん!」と村上春樹に言いたい。
私はファンタジーを受け付けない体質なのかもしれないな・・・
山岡荘八の『徳川家康』を読め!」とか言いたくなる。
私も読んだことないんだけど・・・「人の一生は、重き荷を負うて遠き道を行くが如し」って家康に説教されるんでしょ?
中学生のころは、「これ(徳川家康)だけは読みたくない!」と思ってたのに・・・思えば遠くにきたものだ。


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好きじゃないとかいいながら、おもしろくてやめられない!さあ、どうなる?!
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